日本でも始まっている格差社会(アベノミクスが促進)

格差社会が始まっている

トマ・ピケティ氏
By Yuka Hayashi

フランスの経済学者でパリ・スクール・オブ・エコノミクスの教授、トマ・ピケティ氏の新刊書『21世紀の資本論』(Capital in the Twenty-First Century)が欧米で話題を呼んでいる。700ページにわたるこの著作では格差の拡大が避けられないと結論づけられているが、日本もこの流れの例外ではないという。

日本は長年にわたって比較的平等な社会を誇っており、ピケティ教授の母国フランスとともに、米国と比べて貧富の格差がかなり小さかった。ただ、教授は向こう数十年にわたり、日本でも格差が広がると主張している

こうした結論は、安倍晋三首相の政策議論に一石を投じそうだ。法人税率の引き下げや消費増税など、安倍首相の推進する成長戦略が格差拡大を後押しする可能性がある。
残念なことに、ピケティ教授の著作が日本語に翻訳されるまでしばらく時間がかかる。日本での版権を持つみすず書房は、翻訳者の手配が最近終わったばかりで、まだ日本語版の出版日程は決まっていないと話した。フランスの出版社Editions du Seuilによると、日本語版は2017年3月に出版されるという。

ピケティ教授の主張の核心は、21世紀には小さな経済エリート集団に富が集中するため貧富の格差が拡大するというもの。これについて、米国や欧州では経済学者やジャーナリストらの間で議論が沸騰している。

日本の読者のためにピケティ教授の著作から主なポイントを列挙してみよう。同書には19世紀までさかのぼった日本の税務書類などから集められたデータが含まれている。

格差は新しい問題ではない。欧州との文化的相違にかかわらず、日本では20世紀初頭に欧州と同じくらい高い水準の格差が存在していた。ここでは一握りの富裕層が国民所得の大部分を独占していた。教授は著作の中で「所得構造と所得格差の両面で、日本が欧州とまったく同じ“古い世界”だったことを、あらゆる証拠が示している」と指摘。二つの世界大戦を経て格差は急速に縮小したが、これは戦争がエリートの富の大部分を破壊してしまったからだ。

 日本では富裕層がゆっくりと富を拡大させている。日本では過去20年間にわたってじわりと富の集中が進んできたが、米国ほどの大きさではなかった。現在、日本の高所得層の上位1%が占める国民所得シェアは約9%に上り、1980年代の7%から2ポイント拡大。フランスやドイツ、スウェーデンは日本とほぼ同じペースでシェアが拡大したが、米国ではこれが10-15ポイント上昇した。高所得層の上位0.1%が占める国民所得のシェアは今の日本では2.5%ほどで、1980年代初めの1.5%から拡大したが、またしても拡大ペースは米国に追いつかなかった。

今後は日本も安穏としていられない。ピケティ教授は、日本と欧州を取り巻く潮流を無視することはできないと警告。教授によると「それどころか(日本と欧州が持つ)軌道はいくつかの点で米国と似通っており、10年から20年遅れている」という。「この現象が、米国の懸念するマクロ経済面での重大事となって表面化するまで待つべきではない」と教授は指摘する。

ピケティ教授の著作を読んだ数少ない日本人の中に、経済学者でブロガーの池田信夫氏がいる。池田氏は人気の高い言論プラットフォーム「アゴラ」を運営。同氏は最近、5月7日から全4回にわたる『21世紀の資本論』読書セミナーの広告を掲載した。受講料は2万円(女性と学生は1万円)。定員は20名だったが早くも35人が登録して、現在は応募を締め切っている。

池田氏は「すごい勢いで申し込みがきたのでびっくりした。これはきわめてアカデミックで難しい本なのに」と話す。出席者の多数が30代から40代のビジネスマンだという。

池田氏は、企業がキャッシュをため込んで賃上げを抑制していることを理由の一つに挙げ、ピケティ教授の著作が次第に日本との関連性を増してくると指摘。「もしかしたらこれから日本でも、普通の労働者と企業との間で階層間の格差が広がってくるかもしれない。ピケティは日本でも受けると思う」と話した。
成長戦略が日本の中流層を壊し、下流層化する。上流層はより富をもち、それ以外のものは資産が減り、生活保護家庭の増加となる。その原因は、アメリカをまねた成果主義である。正規社員と非正規社員の格差是正で、全部正規社員とする、高所得の税率を50%として、年間300万円以下は無税とする大胆な税制を改正する。
年収1億円の5000万円の収入にとすれば良いと思う。
1000万以上の外車を買う人と200万円以下の車を買う人は違う階層になっていることはまちがいない